一瞬のきらめきを懐かしく思える日はあと何瞬したら来るのだろう

ぐずついた心臓の中でもいちばん煮崩れしやすいところが、うずいてしまって仕方がない。つまり恋だ。君を目にすると私は動悸が激しくなるし、体は発汗するし、喋るのもどもってしまう。

ぐずついた心臓の中でもいちばん冷めやすいところが、けちばっかりつけてきてうるさいったらない。つまり打算だ。君の荒探しをしているし、微レ存の可能性を夢見ているし、現実の自分を思い出している。

ぐずついた心臓の中でもいちばん腐ってるところが、鬼女の涙みたいになっててかなり笑えない。つまり嫉妬だ。君の言葉にいちいち傷ついているし、視線の先にいるものを消したいし、綺麗な顔は殴りたい。

ぐずついた心臓の中でもいちばんユーモラスなところが、ヒロインでもモブでもないくせにピエロにもなれてない。つまり玩具だ。私はひとりで浮かれたし、いっそ君がホモであってくれたらな、前立腺目覚めろと憎しみを浮かべた。

 

ぐずついた心臓の中でもいちばん私に癒着しているところが、叫んだ、もうあいつむり、ここで終わり、ぷつっと切れて、そしたらもうぐずついた心臓はますます私に合わせて鼓動を刻んで、結局、わたしはひとりなのだった。